2014年6月17日火曜日

背割れ埋木の補修

今年で5年目となった長期優良住宅初年度のお宅です。

ちょっと早めですが5年目の点検に伺いました。

2年目でちょっと気になったのが桧大黒柱の背割れの開きでした。

 もうちょっと時間をおいて、さらに乾燥したら対策しましょう、とお約束して2年ちょっと経過しましたが、開き具合は2年前とほぼ変化がありません。

5年点検と一緒に、背割れも補修する事になりました。

なかなか、見る事のない補修です。担当は一級大工技能士登録№4の超ベテラン佐藤棟梁です。


 そういえば昨年訪れた、伊勢神宮の鳥居の丸柱も背割れの処理には結構手間をかけておりました。



まずは背割れと隙間の状態を確認





既存埋木のどちら側に新たに埋木するかを決めて、片側にノミを入れる。




木工用ボンドを注入し埋木をタタキ入れる



埋木は桧をクサビ状に加工する


余分な埋木をノミを使い丁寧に取り除いて行く



表面はノミとカンナを使い平坦に仕上げる



お見事完成しました。
埋木した部分が白っぽいのですが、着色してはいけません、2年もすれば他の部分と同じ色になります。それが無垢材です。



 背割れとは木材を内部まで乾燥させるために通常壁の内部に隠れる面に材料の中心部までノコを入れ、材料の内外から乾燥をさせようという物です。

 現在は背割りをしないでも乾燥する事が出来ますが、過乾燥による色抜け・黒色化などのリスクがあり、出来れば背割りを入れ自然乾燥による方が望ましいと思います。

 しかし、自然乾燥程度では室内でエアコンを使った場合材木の乾燥が進み背割れも大きくなりますので、化粧柱などで見える柱については、今回のような補修が必要になってきます。

 なお柱に背割れを入れる事により強度が低下するのではないかと質問されますが、柱として使用した場合の強度低下は考える必要のないレベルである事が実験により証明されております。





2014年6月12日木曜日

赤松床板のお手入れ

5年前にお引き渡しさせていただいたTY様をご訪問しました。

目的は赤松床板のメンテナンスです。

 南面の掃き出し窓部分の床板が紫外線により白っぽくなってきたので何か良い方法はないか?とのご依頼。

 普段よりメンテナンスのクリーナー&ワックスをお使いになっておられ、TY様お気に入りの赤松の床板はご希望通りの琥珀色になっておりました。

 しかし、掃き出し部分は窓面より30cmくらいのところまでが油分が抜けた様な何となく白っぽい感じになっておりました。


 電話でお伺いした状況だともっと激しく傷んでいるのかと思っておりサンドペーパーも用意しておりましたが。オイルを擦り込む事にしました。

ちょっとだけお手入れのレクチャーをさせていただき。

 ご一緒にオイルの擦り込みを体験していただきました。

なんと20才の肌のようにみずみずしさが戻り喜んでいただきました。

 最後にオイル擦り込みに使ったタオルは自然発火して火事になる恐れがある事をお話しして完了しました。

久々のご訪問で、5年間の色々なお話をお聞きしました。

暑さ寒さも文句なし、最高に気持ちいいよ!とおっしゃっていただきました。

TY邸は初めてで最後の「ヨコ間柱の家」です。

外壁に面した間柱はヨコに取り付け、桧の構造用合板を使用し外貼り断熱をしております。




床板同様TY様のご自慢がガラス面の大きな薪ストーブです。


冬場の暖房はストーブのみです。

ですから薪割りが結構なお仕事で当初はマサカリで割っていましたが、

限界を感じ今は27TONのエンジン薪割り機を購入し今は5年間くらいの薪は有るよ!とおっしゃっておりました。





2014年6月9日月曜日

「一級建築士登録証明書」と「建築士 登録内容」



とある講習会を受講するに当たり、一級建築士免許証の写しの他に一級建築士登録証明書の添付が必要とあった。 

ところで一級建築士登録証明書って何? そんなの有るって知らなかった。

一級建築士の免許証偽装事件が有ってから出来た制度かと思いますが、本人が本当に一級建築士なのかを建築士会が管理しているデータベースで確認して、間違いないですと証明する公的な書類なのです。ややこしい事になりました、もっとも英語での証明書の発行もしてくれますからグローバルに活躍されている建築家の先生には必要な書類なのでしょう。またややこしいのがこの「登録証明書」の他に「建築士 登録内容」ってのが有るんです。

「一級建築士登録証明書」:一級建築士登録証明書は、建築士ご本人からの依頼により、ご依頼人が建築士法に基づく一級建築士名簿に登録されていることを証明するもの。

証明される内容

・氏名(フリガナ)

・生年月日

・登録番号

・登録年月日 など

発行のためには1.証明願い 2.免許証の写し 3.身分証明書の写し 4.手数料400円の定額小為替 5.返信用封筒 

和文サンプル:建築士登録証明書(一級建築士、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士共通)



英文サンプル:一級建築士、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士


次に
「建築士 登録内容」 : ※確認検査機関に、“建築士の登録を示すもの”として提出する書類は「登録証明書」ではなく、「建築士 登録内容」です。

「建築士 登録内容」には、閲覧項目である以下の内容が記載されます。

 ・登録番号、登録年月日

 ・氏名、生年月日、性別

 ・一級建築士試験合格年月、合格証書番号

 ・処分履歴

 ・講習履歴 

 ・構造・設備設計一級建築士証の番号、交付年月日等

⇒「建築士 登録内容」サンプル (建築士1名毎、A4版)

手数料  1通につき、400円(税込)(1名につき1通発行されます)
・返送料  510円(レターパック代) がかかります。

※日本建築士会連合会では、一級建築士についてのみ資格確認を行っています。

※二級建築士・木造建築士は、各都道府県もしくは、都道府県指定登録機関となっている建築士会にお問い合わせ下さい。

2014年6月6日金曜日

住宅の外皮計算と一次エネルギ消費量計算



まずは①を開いて計算の概要を見てください

 

②は省エネ講習の設計版テキストです、緑本よりまとめてあります。講習会は\1,000で受けられます。製本版のテキストをもらえますので絶対お得です。施工講習も是非受けてください。 

データ入力前に準備しておかなければならない事は。1.断熱材の仕様と性能(床・壁・天井・他) 2.サッシ・ドアの仕様と断熱性能(ガラスの仕様)と大きさそして庇 3.外皮の部位別面積が必要になります。



データがそろいましたら③のエクセルシートに断熱材・開口部の性能・面積を入力してください。


最後に③で出たUA値、イーターA値を④に入力すると住宅の一次エネルギー消費量が計算できます。


まずはトライしてください。



①平成25年省エネ基準 改正の概要とポイント  まずはこちらが全てをまとめて解説されています。

http://jutaku.homeskun.com/syouene/2013point.html#p03


②住宅省エネルギー技術設計者講習テキスト(平成25年度)です。 

 http://www.shoene.org/d_book/data/kiw00012/_SWF_Window.html




③住宅の外皮平均熱貫流率及び外皮平均日射熱取得量(暖房期・冷房期)計算書エクセルシート

標準入力型  http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/gaihi.html


仕様選択型  http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/gaihi2.html


※標準入力型と仕様選択型の違いについて

標準入力型は熱貫流率UAおよび日射熱取得率ηAを直接入力する形式です。

仕様選択型は開口部(建具・ガラス等)の仕様をプルダウンにて選択することが可能な形式です。


開口部(窓・ドア)の性能はこちらから https://www2.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/info/kaikoubu.php

断熱材などの性能を調べるにはこちらから https://www2.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/info/category.php



④住宅・住戸の省エネルギー性能判定プログラム

http://house.app.lowenergy.jp/  外皮計算した数字を入れて、さらに設備の性能を入れます。


一次エネルギー消費量算定用WEBプログラム解説(住宅編)は http://www.kenken.go.jp/becc/index.html#TechnicalReportForBuildings  


 これで住宅の燃費ラベルまでの計算は出来ますが、1ヶ月に数件の家を計算しなければいけない場合、外皮の数量を拾うのも億劫になりますので、3次元CADをご使用の方は、ぜひオプションの計算ソフトを道具としてご用意した方がよろしいかと思います。

 また、そんな連動CADは使ってないよという方は、個人的には(株)インテグラルの温熱計算ソフトが使いやすいです。

 計算するという行為より、コストパフォーマンスの追求や温熱性能のさじ加減などゲーム感覚でシュミレーションできます。 

2020年の義務化に向けての設備投資するのが良いと思います、道具ですから。

長期優良住宅・性能表示・低炭素認定など国への申請のためだけでなく実務として、建物の燃費を計算する場合、建物燃費ナビ や エネルギーパス計算ソフト が必要になります。

2014年6月2日月曜日

太陽光発電の公称最大出力と実際の発電出力の違い

2014/6/2 AM11:00  上尾市IN邸 

太陽光発電の検証

天気快晴 すでに外気温は35℃ 車の外気温度計は41℃であった。

太陽光発電は カナメ製屋根一体型 モジュールパネルの定格容量12KW

建物は若干東に振れていて午前11時頃が正面となる

こんなに天気の良い日にどんだけ発電しているものかと楽しみにIN様を訪問させていただいた。しかし頭に描いていた12KWという数字とはかけ離れていた。 その時の発電量は8.9KW 定格12KWだから74% でそんなものかなと思い メーカーに回答を求めた


定格にならない理由

1.モジュールの200W 250W というのはあくまでも工場内で本体温度を25℃を設定したときの試験室内での公称最大出力値(※)であり、一般的には容量の70%~80%位が最大の発電量である。

2.外気温に影響され温度が低い方が発電効率は高く、温度が上昇するにつれて発電効率は低下する。モジュール(パネル)温度が1℃上がれば、0.4~0.5%発電効率が下がる(今日の温度は60℃を超えていると思われる、真冬でも晴天時は25℃を越えてしまう)

3.風があるか無いかも温度を上昇させないという事では重要、無風よりそよ風程度でも風が有れば温度上昇を抑えられます。

4.屋根の角度と季節による太陽高度により、効率が変わる。

5.建物の向きによる、真南に向いているのが照射時間も長く理想的、振れ角度によって効率は低下して行く。

6.もちろん雲の量により効率は低下する。

7.パワーコンディショナーの温度上昇により発電効率が落ちます、高温の小屋裏や外壁に面している場合効率は低下します。

8.その他のロス パワーコンディショナーで直流電流を交流電流に変換するときの変換ロス、接続点でのロスが約10%。パネル表面の汚れが原因のロスが約3%、電気抵抗などのロスが約2%などが考えられます。合計で15%ぐらい。

一番効率の良い天候とは、4月~6月の雨上がりの大気中のチリがないとき、そよ風が吹いている建物の上面から太陽が照らす時間(真南を向いていれば正午)に90%近い瞬間発電量になる可能性が有る。通常だと良くて80%、70%を越えていれば普通というレベルのようです。いずれにしろ瞬間の発電量ではなく、年間の発電量が重要で、メーカーのホームページを確認してあまりにも開きは無いようです。

公称最大出力の定義(太陽光発電のモジュールパネルの定格容量) 
JISC8918で規定する分光分布AM1.5、放射照度1000W/㎡、モジュール温度25℃の設定条件で、1kWの発電能力のあるモジュールを公称最大出力1kWという。